光栄の歴史シミュレーションゲーム「三国志」にはまった時期があり、小説のほうにも興味が出てきたので読んでみました。
3カ月かけて、吉川英治の三国志全8巻を読みました。
以下感想です。
三国志1
劉備が黄河を眺めている場面からスタートして、関羽、張飛との出会い、黄巾賊や董卓との戦い、其のあたりが書かれています。
キャラクターの性格わけがしっかりしていて、愛着を持ちやすいです。
特に張飛は、気に入らないことがあれば、手が付けられないくらいの暴れん坊になってり、そのせいで話がどんどん展開して面白いです。
劉備を中心に話が進んでいきますが、途中から曹操や孫堅も出てきてきます。
この二人の側に立っての話も展開していくので、物語をいろんな角度から読むことが出来ます。
次から次にいろんな武将が出てきて、ゲームで知った武将が出てくると、うれしくなります。
この武将ゲームでは大したことない能力だったけど、実はこんな活躍してたんだとか、そういった読み方もできました。
三国志2
中学生くらいに読んだときは難しい漢字や、表現についていけずに途中で断念してしまいました。
大人になって読んでみると、知識が付いた分、読破できました。
とても読みやすく、展開が速いので退屈することがありません。
主要な武将たちのキャラクターがよく描き分けられています。
曹操は古い慣習に囚われず、出来る人間はどんどん取り立てていく、新しい時代を作る人の象徴みたいです。
強引なところがあるので部下から恐れられているところがあります。
劉備は同じ人に何度裏切られても、許しています。そうやって、仲間を作っていっています。人徳の高さから部下から慕われています。
呂布は武力だけで策略がない、そして裏切り者みたいな感じです。
何だか、ここに載っている武将たちの生き方を読むと、自己啓発書を読むよりも参考になります。
三国志3
呂布がとうとう倒されて、何だか少し寂しくなります。
でも、さすがにゲームだと武力が一番高い武将だったので、史実でもやっぱり倒すのにてこづってたんだなあ。という印象です。
序盤戦から中盤戦に入ったという感じで、どんどん面白くなっていきます。
毎回の武将が名乗りあって一騎打ちするシーン。」決着が決まるシーンはあっさりした描写で、潔しという感じでいいです。
まるで、講談のようです。
此の巻では、関羽が、玄徳と離れ離れになって、仕方なく曹操側についています。
曹操は関羽の武勇にほれ込んでいるので、金銀を与えたり、たくさん宴をひらいたり、重用しますが、関羽は心ここにあらずで
玄徳のもとにいつも帰りたがってます。
振られて振られても、関羽に言い寄る曹操。ついには、関羽に別れを告げられたくなくて、居留守まで使いますが、ついに去られてしまいます。
曹操もこうやって見ると結構健気だったりしますね。
三国志4
劉備が見つかったので、関羽が曹操のもとを離れます。
曹操の手下たちが、関羽の帰還を阻止しようとしますが、返り討ちにされます。
関羽強いです。
ゲームでもめっぽう強かった。
曹操も、さっぱりした男なので、関羽が元鞘に戻るのを許しています。
だんだん、キャラクターが立ってきて面白くなってきました。
勝つために何でもやる曹操軍、ちょっと地味だけど地道に発展していく孫権軍、
諸葛亮孔明を手に入れてこれからという劉備軍。
いよいよ三国志という感じになってきました。
やっぱり、劉備がいつも仁を貫き通そうとするあまり、機会を損失しています。
孔明に舌打ちされるくらいですから、よっぽどのことです。
そこがいいところで、人が集まる理由なのでしょうけれど。
三国志5
かの有名な赤壁の戦いが収録されています。
前半のクライマックスといった感じで盛り上がってます。
劉備が孔明を軍師に迎え、いよいよこれからといったところです。
孔明と劉備が話してると、関羽、張飛がちょっとやきもち焼いてるように見えます。
呉の周瑜も中々の知恵者ですが、孔明の手のひらで転がされてしまいます。
孔明の万能っぷりがすごいです。
周瑜と孔明の間を行ったり来たりして板挟みになる魯粛が何だか健気です。
兎に角文章がてきぱきしていて、読んでいて心地よいです。
血の流れる戦の描写まで爽やかです。
三国志6
父・罵騰の仇・曹操をうつべく、西涼から馬超が登場。
また、黄忠と厳顔の老コンビが勇ましく頑張ります。
年寄りの冷や水だの何だのと、冷やかされながらも、見ておれとばかりに大活躍。
五虎大将軍が揃いました。プラス孔明。
劉備軍、全盛期です。
どんどん攻め入って劉璋 から領土を奪取し、蜀が出来上がりました。
ここから、魏、呉、蜀の三国志になります。
群雄割拠していた時代と戦争の意味合いが、異なってきているのを感じます。
一戦、一戦が、血気に逸った思慮浅く適当な内容ではだめになってきています。
戦に至るまでの準備やそのあとの処理が大事になってきたんだなあという印象です。
それだけ、国が大きくなり何もかもを運営することが難事となったのでしょう。
序盤の、英雄が乱立した小競り合いのころが懐かしいです。
三国志7
関羽、張飛、曹操、劉備、黄忠などの大物が相次いで退場します。
寂しくなっていきます。
大物といえば、張遼も亡くなっていますが、こちらは、その顛末がたったの一行で片づけられていて、
「あんなに活躍してたのに!」という感じです。
ですが、こういうさっぱりしたところも好きです。
劉備が死に際に、孔明に蜀のその後を託す場面。
最も心に残りました。
劉禅が頼りなければ、孔明が国の長になれと。。。
巻の後半では、孔明が南蛮に攻めて行きます。
南蛮王孟獲や、一部の熱狂的なファンを持つ兀突骨だのといったキャラクターが登場します。
兀突骨に至っては人間とは思えない描写です。
孟獲は、七回生け捕られ、七回放逐されています。
その度に、孔明に対して吐く悪態や負け惜しみの数々、、、七回目に生け捕られて、やっと改心。
何か、憎めないキャラクターです。
すごいのが、初期から活躍している趙雲が年とっても未だに功を立てているところ。
三国志8
孔明が死んでしまい、物語もここで終わります。
そのあと、短いですが、孔明がどんな人だったかという解説と、蜀を含めたその後30年の話が書かれています。
その中で、前半の主人公が曹操で、後半が孔明だったということが書かれています。
まさにその通りだと思いました。
曹操の破天荒ぶりも、その人が亡くなったあとは、それを引き継ぐかのような登場人物は出てきませんでした。
そのあと、曹操とはタイプが異なる孔明が大活躍をします。
本当に、完璧な軍師で、向かうところ敵なしといった感じです。
ただ、惜しむらくは、蜀に人材が足らなかったということだけですね。。。。
孔明の指揮を破って、勝手に行動して、司馬懿に粉砕される馬謖。。。
孔明の悪い噂をの流して、信頼度を落とす、味方の武将までいたり。。。
病で余命長くないと感じた孔明が、寿命を延ばすために願かけていた燭台の火を、魏延に、
誤って蹴飛ばされて、消されたり。。。
また、運もなかったです。
司馬懿をあと少しで、火計で焼き殺すことが出来たのに、突然雨が降ってきたり。。。
こういったことがなければ、蜀は魏に勝てたのではと思えてきます。
司馬懿は結構、鏡に映った自分と戦ってただけのような感じもするし。。
ただ、孔明の短所として、遊びがないということが書かれています。
それが人を寄せ付けがたく見せていて、結果、良将が集まり辛かったのではと解説されています。
「ふつーあきらめるやろー」と思うような事態に何度も遭遇しても、取り乱さず、次々新しい案を考え出しては
実行する孔明の姿勢は、すごいの一言です。
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